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英科学専門誌「Nature」および全米科学振興協会(AAAS)のオンラインニュースサービスなどから抜粋した記事、プレスリリースの要約記事を掲載しています。 |
掲載日: 2005.10.21 |
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国防省(DoD)は、喫煙がどれだけ骨折の治癒を遅らせるかについての研究に乗り出す。米軍では兵士の34%が喫煙者とされ、禁煙率も低い。イラクなどでの戦闘で負傷する兵士は後を絶たないが、同省では、負傷の治癒を遅らせる原因のひとつはニコチンであるとして、関連性を調べることにした。
DoDは研究を米ロチェスター大学整形外科部に委託。研究では、ニコチンが、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)の働きに影響し、幹細胞から軟骨、軟骨から骨を生成する遺伝子の機能を遅らせる可能性について調べる。
同省では負傷の治癒に時間がかかればかかるほど、回復しても慢性的な痛みや体の不調が続くとみている。また、ニコチンは夜間の視力低下にもつながるとして、科学的なデータをもとに兵士の禁煙を促す考え。
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First released 18 Oct 2005 @  |
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インドでHIV感染者の死亡率が激減-安い後発薬の普及で |
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米感染症学会(Infectious Diseases Society of America、IDSA)は、インドでは安い抗レトロウイルス薬療法(ART)の後発薬の普及に伴い、HIV感染者の死亡件数が1997年から2003年までに8割も減少したとの報告書を発表した。
インドでは500万人以上のHIV感染者がいるとされるが、多くは高額な治療薬に手が届かず、治療をあきらめるケースが多かった。ARTの後発薬が最初にインドで入手可能になったのは2000年。その時点で毎月778ドルかかったARTの価格は、2003年までに同33ドルと約24分の1に低下。平行して一気にARTの普及が進んだとみられる。
報告書を執筆したチェンナイのエイズ研究・教育YRGセンター、ナガリンゲスワラン・クマラサミ博士は、「治療薬の価格はもっと下がっていいぐらいだ。治療薬の普及とあわせて、いくつかの公立病院では、ボランティアによるカウンセリングも行なっている。感染防止とともに治療薬の普及を促し、感染拡大を防がなければならない」と強調した。
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First released 19 Oct 2005 @ |
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ハリケーンによる健康被害は長期化へ--米ジョンズ・ホプキンズ大学 |
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米ジョンズ・ホプキンズ大学のチームは、ハリケーン「カトリーナ」で避難生活を送る住民の間で、感染症などの健康被害のリスクが向こう数ヶ月継続するとの報告を発表した。
感染症としては感染性胃腸炎やインフルエンザ、水痘、ヒツジ赤痢などが考えられる。不衛生な避難所の中に多くの人が集合生活を送るなかで、こうした感染症が広がれば被害の規模は甚大になる可能性が高いという。
また、医療機関へのアクセスが限られている状況下で、血液透析を受ける患者や糖尿病、心臓病、結核などの患者やHIV感染者などが十分な治療を受けられず、健康を損なう可能性もあると指摘した。
同大は、米国赤十字の委託で、被害地域の住民の健康状態や必要な医療支援の規模を5週間にわたり調査した。調査を率いたトマス・キルシュ助教授は「疾病のアウトブレーク(勃発)を防ぐには、同地域の状況について定期的なモニタリングが必要だろう」と述べるとともに、「自然被害にあっても人々の健康を守ることのできる、しっかりした医療制度を構築することこそ重要であろう」と既存の米国の医療制度の欠点を示唆した。
報告は、医療専門誌「The New England Journal of Medicine」に掲載された。
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First released 19 Oct 2005 @  |
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